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1 相続ってそもそも何ですか?

2 相続は何がきっかけで開始するの?

3 相続に関する手続きには期限はあるの?

4 相続人は必ず資産や借金を引き継ぐの?

5 相続人の一部が認知症や未成年者の場合はどうするの?

6 誰が相続人になるの?複数いるときの割合は?

7 誰が相続人になるかをどうやって確認するの?

8 本来相続人になるべき人がすでに亡くなっている場合は?

9 相続人に借金があったり、保証人になっていた場合は?

10 借金を相続したくない。または、借金はないけど遺産もいらない。どうしたらいい?

11 遺言が見つかったけど、ある場合とない場合で手続きは違うの?

12 生命保険金は相続財産に含まれるの?

13 被相続人の生前または死亡後に、相続人の1人が勝手にお金を使っていた場合は?

14 遺産分割の内容や方法に決まりはあるの?

15 遺産分割協議のやり直しはできるの?また、前妻の子や認知した子を含めないで遺産分割協議をした場合はどうなるの?

16 遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合や、相続人たちが疎遠だったり仲が悪くて話し合いができない場合は?

17 生前に特定の相続人だけが贈与を受けていた場合は?

18 生前に財産の増加(維持)に貢献した人が報われる制度があるってホント?

19 よく聞く遺留分って何のこと?

20 遺言書の検認手続きって?必ずやらなければいけないの?

21 抵当権の抹消登記の手続きはいつ必要になるの?

22 抹消登記は必ずやらなければいけないの?

23 自分でも抹消登記はできるの?

24 遺産があるかどうかがわからない。どうやって調べればいいの?

 

 

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Q 相続ってそもそも何ですか?

A 権利も義務も引き継ぐことです。

「相続」とは、人が死亡し、その財産(権利義務)を相続人が引き継ぐことをいいます。
亡くなられた方を「被相続人」、財産を引き継ぐ方を「相続人」と呼びます。
相続の対象となる主な財産は、次のとおりです。

〇現金・預貯金等の金銭
〇借地権・借家権
〇土地・建物・農地や山などの不動産
〇自動車
〇株式等の有価証券
〇美術品・骨董品・貴金属等
〇著作権・特許権・商標権などの知的財産権
〇借金等の債務や保証債務 等

相続は「プラスの財産」だけでなく、借金などの「マイナスの財産」も相続財産に含まれます。
しかし、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には、相続人への負担が大きくなるため、相続人は「相続放棄」という手続きをとることができます。
この手続きにより、借金などの相続を免れることはできますが、プラスもマイナスもすべてを放棄するということになるので、プラスの財産も取得することはできません。
また、被相続人その人だけが持つ権利(一身専属権)は相続の対象外になります。例として、扶養請求権、生活保護受給権、親権などの権利などがあります。同様にお墓や仏壇などの祭祀財産も対象外で、これは先祖の祭祀を主宰するものが継承することになっています。

 

 

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Q 相続は何がきっかけで開始するの?

A 人の死亡により開始します。

相続は、被相続人の死亡より、亡くなったその日から開始されるということが原則ですが、死亡ではなく死亡とみなされる場合にも相続が発生することがあります。
例として、7年以上生死が分からない(普通失踪)、船舶の沈没・地震や雪崩等の危難から1年以上生死が分からない(特別失踪)などの場合です。
この場合、利害関係者が家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てることができ、確定後は、普通失踪の場合は7年間経った時、特別失踪は危難が去った時に死亡した、ということになります。

 

 

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Q 相続に関する手続きには期限はあるの?

A 相続放棄や限定承認、相続税の申告等は期限が決まっています。

相続人は、相続の開始があったと知ったその日から3ヶ月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。この期間を「熟慮期間」といい、相続財産の確認も含めて相続をするかどうかよく考える期間として設けられています。選択肢としては、

①すべての財産を相続する「単純承認」(一般的な相続)
②すべての財産を放棄する「相続放棄」
③プラス財産の限度でマイナス財産も相続する「限定承認」

のいずれかとなります。

相続放棄、限定承認は3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをとる必要があり、期間が経過してしまうと単純承認をした、とみなされ、仮に多額の借金があった場合でも相続人がその借金を負担することになってしまうため注意が必要です。
その他、被相続人が自営業者の場合の所得税(その年始め~死亡日)の準確定申告が4ヶ月以内、ある一定以上の財産がある場合の相続税申告が10ヶ月以内、遺留分侵害額請求権は1年で時効により消滅(相続開始より10年経過も同様)と期間が定められているものがあります。

 

 

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Q 相続人は必ず資産や借金を引き継ぐの?

A 引き継ぐことも放棄することもできます。

すべてを放棄する場合は“相続放棄”
相続放棄とは、相続人が財産の承継をすべて否認することをいいます。放棄することにより、その相続人は最初から相続人ではなかった、という認定になります。
一般的には、相続財産のほとんどが借金の場合等に相続放棄を選択するケースが多いですが、最近では相続争いに巻き込まれたくないなどの理由で選ばれる方も増えています。

プラス財産の限度でマイナス財産を相続する場合は“限定承認”
限定承認とは、プラスの相続財産の限度でのみ被相続人の負債を相続することをいいます。被相続人の全財産がプラス・マイナスのどちらが多いかわからない場合などにも有効です。

限定承認の効果としては、
・プラスの財産が多ければ、負債を清算した後の余った財産は相続できる
・負債の方が多ければ、プラス財産の限度でのみ清算する
ということになるので、相続人がプラス財産以上の負債を相続するということはありません。

相続放棄・限定承認の手続きは、自分が相続人であると知った時から3ヶ月以内(事情により延長も可)に家庭裁判所で手続きをする必要があります。(限定承認の場合は、財産目録を作成すること、相続人が複数名いる場合には全員が共同して行うことが必要です)
期間が過ぎてしまうと相続を承認をした、とみなされ、仮に多額の借金があった場合でも相続人がその借金を負担することになります。また、期間内であっても相続人が相続財産の一部やその全部を処分してしまった場合は相続を承認した、とみなされ、相続放棄・限定承認ができなくなりますので注意が必要です。

 

 

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Q 相続人の一部が認知症や未成年者の場合はどうするの?

A 成年後見制度の利用や裁判所で特別代理人の選任が必要になる場合があります。

相続に関する法手続きを有効に行うためには、その手続きを行った結果が法律上どのような効果を発生させるのかを理解する“判断能力”が必要になります。これを“意思能力”といいます。
相続の法手続きを行う上では、この意思能力の有無が肝心であり、例えば、遺産分割協議に意思能力がないと判断される人が加わっていた場合、遺産分割自体が無効になることがあります。

相続人の中に認知症の方がいる場合
相続人の中に認知症の方がいる場合、相続手続きを進めるためには一般的に「成年後見制度」を利用することになります。成年後見制度とは、判断能力が不十分な方に代わる代理人(成年後見人等)を家庭裁判所が選任する制度で、認知症だけではなく、知的障害や精神障害がある方にも利用されています。
成年後見人の選定には、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ後見開始の審判を申し立てをする必要があります。成年後見人には、本人の家族が選定されることもありますが、親族内での対立等がある場合は利害関係のない第三者(司法書士等)が選ばれることもあります。
詳しくはこちら(法務省サイト)

また、判断能力が十分にあるうちから将来認知症などになった場合に備えて「任意後見制度」を利用する方法もあります。任意後見制度は、自分が信頼できる人に後見人を依頼できる点や判断能力があるうちに契約を締結して後見人を引き受けてもらうという点などがメリットといえますが、これらも法律で定められた手続きに従う必要があります。
詳しくはこちら(日本公証人連合会のサイト)

相続人の中に未成年者がいる場合
通常、未成年の子がいる場合は、親権者である親が子の財産を管理し、その財産についての代理権限を持つことになりますが、親と子が同時に相続人になった場合、親が子の代理ができるとなると、子の相続分を少なくして自分(親)の有利な内容に協議を持っていくなど、子に不利益を与える可能性があります。(これを利益相反といいます)そのため、遺産分割協議を行う場合には家庭裁判所で子の「特別代理人」を選んでもらい、特別代理人が子に代わって遺産分割協議に参加していきます。
特別代理人は、相続人が親と子の場合であれば、利害関係にない親族(おじ、おば等)がなることも可能です。選任してもらうには、子の住所地を管轄する家庭裁判所へ特別代理人選任申立をします。仮に特別代理人を選任せず、遺産の分割協議などを進めてしまうと、のちにその協議自体が無効とされることがありますので注意が必要です。

 

 

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Q 誰が相続人になるの?複数いるときの割合は?

A 法律(民法)により相続人の順位や割合が決まっています。

法律における相続人の順位について
被相続人の配偶者(夫または妻)は常に相続人になります
続いて、以下の優先順位で配偶者と共に相続人になります。

・第一順位=被相続人の子
その子がすでに死亡している場合は、孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。
・第二順位=被相続人の父母(第一順位の相続人がいない場合)
その父母がすでに死亡している場合で祖父母が存命の場合には祖父母が相続人になります。
・第三順位=被相続人の兄弟姉妹(第一、第二順位の相続人がともにいない場合)
その兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、甥・姪が相続人となります。

※なお、第一、第二、第三順位とも相続人がいない場合には、配偶者が単独で相続人となります。

法定相続人による相続分の割合について
法律上の相続人における法定相続分は次の通りです。

・相続人が配偶者と子の場合
=配偶者2分の1、子2分の1(子が複数いる場合には、2分の1を人数割)
・相続人が配偶者と父母の場合
=配偶者3分の2、父母3分の1(複数いる場合には、3分の1を人数割)
・相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
=配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(複数いる場合には、4分の1を人数割)

 

 

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Q 誰が相続人になるかをどうやって確認するの?

A 必ず戸籍(除籍・改製原戸籍等含む)を調査して確認・確定します。

そもそも戸籍とは
人の一生には、出生・婚姻・子の出生・死亡といった出来事があります。このような事柄(親族関係)を登録し、公に証明する制度が「戸籍制度」です。たとえば、子が生まれたら出生届が提出され親の戸籍に入籍し、結婚したらその戸籍から出て結婚相手との間で新たな戸籍を作ります。そして、死亡したら死亡届が提出されて、その人の戸籍は抹消されます(ただし、戸籍が処分されるわけではありません)。このように各戸籍は夫婦および未婚の子で編成されており、本籍地の市町村で管理されています。

相続人が誰かは戸籍で確認する
相続発生後、まず最初に行うことは、被相続人に対する「相続人」は誰か、を確認することです。
一般的な法定相続人は、子、親、兄弟姉妹などが考えられますが、実際に被相続人の戸籍を遡ってみると、前妻との間に子がいた、養子縁組をしていた、という事実が出てくることもあります。
そこで相続人を確定するためには、「被相続人の出生~死亡までの戸籍」を調査する必要があります。
被相続人の戸籍は、戸籍の電子化や結婚・離婚などによって切り替わり、複数存在していることが通常です。被相続人の出生~死亡まで、抜けのないよう戸籍を取得しましょう。

 

 

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Q 本来相続人になるべき人がすでに亡くなっている場合は?

A 代襲相続が発生することがあります。

被相続人よりも先に子が死亡している場合、被相続人の子の子(被相続人の孫)が代わって相続人を引き継ぎます。このことを代襲相続といいます。被相続人の子の子(孫)も亡くなっている場合は、さらにその子(被相続人のひ孫)が代襲します。これを再代襲といいます。このように被相続人と血のつながりのある下の世代(孫、ひ孫等の直系卑属)については下へ下へと代襲していきます。
代襲相続は子の死亡以外に、子の相続欠格や相続廃除によって相続権を失った場合にも認められますが、相続放棄をした場合は認められません。
また、被相続人に子がおらず、親や兄弟姉妹も死亡している場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となります。ただし、直系卑属の代襲とは異なり、再代襲はなく、兄弟姉妹の代襲の場合は、甥・姪までです。

 

 

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Q 相続人に借金があったり、保証人になっていた場合は?

A 原則として、法定相続分に応じて負担することになります。

被相続人の借金(マイナスの財産)は、相続放棄などの手続きを取らなかった場合、遺産の一部として相続人らが法定相続分の割合で引き継ぐことになります。遺産分割協議では、その割合を変えることは可能ですが、この効力はあくまでも相続人内でのもので、債権者は、その協議に拘束されません。
また、被相続人が保証人となっていたことで発生した保証債務についても同様です。
債権者は遺産分割協議の内容に従う必要はなく、相続人それぞれに対して各法定相続分に応じた債務の支払いを請求することが出来るのです。

 

 

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Q 借金を相続したくない。または、借金はないけど遺産もいらない。どうしたらいい?

A 相続放棄の手続きがあります。

すべてを放棄する場合は“相続放棄”
相続放棄とは、相続人が財産の承継をすべて否認することをいいます。よって、その相続人は最初から相続人ではなかった、という認定になります。一般的には、相続財産のほとんどが借金の場合等に相続放棄を選択するケースが多いですが、最近では相続争いに巻き込まれたくないなどの理由で選ばれる方も増えています。

相続放棄は申請手続きの期限に注意
相続放棄の手続きは、自分が相続人であると知った時から3ヶ月以内(事情により延長も可)に家庭裁判所で手続きをする必要があります。期間が過ぎてしまうと相続を承認した、とみなされ、仮に多額の借金があった場合でも相続人がその借金を負担することになります。(ただし、後になって被相続人に借金があることがわかったという場合は、例外的に3ヶ月を経過していても“債務があったことを知った日から3ヶ月以内”に申立てをすれば、相続放棄が認められるケースもあります。)
その他、期間内であっても相続人が勝手に相続財産を処分した、または消費してしまったなどの場合も相続を承認した、とみなされてしまうので、相続放棄をするなら相続財産には手を付けないようにしましょう。

 

 

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Q 遺言が見つかったけど、ある場合とない場合で手続きは違うの?

A 遺言の有無で手続きの流れも方法も大きく変わります。

遺言がある場合の流れ
①家庭裁判所へ遺言書の検認の申立てをする (公正証書による遺言の場合は不要)
②遺言の内容に従った相続を進める (遺言の中で遺言執行者が定められている場合はその者が、いない場合には相続人が分割手続きを行う)
※ただし、相続人や受遺者ら全員の合意があれば、遺言内容とは違う分割方法に変更することも可能。
また、遺言の内容が法定相続人の「遺留分」(一定範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分)を侵害している場合には、その法定相続人は「遺留分侵害請求」を行使することができ、分割方法が修正される可能性があります。

遺言がない場合の流れ
①被相続人の戸籍をすべて取得し、相続の対象となる法定相続人を確定する
②相続人全員で「遺産分割協議」(どのように遺産を分割するかの話し合い)を行う
③協議が合意した時は、その分割内容を協議書にまとめて、その通りに遺産を分割をする手続きを行う
※一方、話し合いがまとまらない、あるいは協議自体が出来ない場合などは、家庭裁判所に遺産分割調停・審判の申立を行い、その結果に従った遺産分割をすることになります。

 

 

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Q 生命保険金は相続財産に含まれるの?

A 受取人が誰になっているかによって含まれる場合と含まれない場合があります。(但し、相続税は別)

生命保険金が相続財産に含まれるかどうかは、受取人が誰になっているのかによって変わってきます。
一般的には、受取人を特定の者(配偶者など)にしていることが多く、その場合は受取人の固有の権利となるため、相続財産にはなりません。
※ただし、受取額があまりに多額で、他の相続人との間で著しく不公平といえる場合には、保険金授受が特別受益とみなされ、相続財産に加わるケースもあります。
一方、被相続人が自分を受取人として契約していた場合、被相続人の死亡によって相続人は保険金請求権を取得するため、相続財産に含まれることになります。
また、生命保険金が相続財産にならない場合でも、税法上は“みなし相続財産”として相続税、所得税などの課税対象になるので注意が必要です。

 

 

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Q 被相続人の生前または死亡後に、相続人の1人が勝手にお金を使っていた場合は?

A 相続人間のトラブルとして多い事案です。状況に応じて対応が必要です。

高齢の母親と同居中の子が、母親名義の預貯金を母の許可なく勝手に使い込み、自身の消費として利用していた、というのはよくあるケースです。
このケースでもっとも大きな問題は、1人の相続人の身勝手な行動により、本来、分割対象であった遺産が減少し、他の相続人らが損害を受けてしまうということです。また、遺産を使い込んだ相続人だけが得をすることは、他の相続人にとっては許しがたく、相続人間で、熾烈な争いが発生することも少なくありません。
こういったトラブルを避けるためにも、高齢で自身の財産管理がうまくできなくなった両親等がいる場合には成年後見制度を利用し、家庭裁判所の監督のもとで財産を管理してもらうことも一つの防止策ですし、仮にトラブルに発展してしまった場合には、身内だけで悩まず、第三者の専門家(司法書士や弁護士等)に相談し、早めに解決することが肝要です。

 

 

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Q 遺産分割の内容や方法に決まりはあるの?

A 相続人全員の合意があれば、法律上は内容や方法に決まりはありません。

遺言により相続分が指定されていた場合や法定相続分に従って相続する場合などは、「誰が何をどれくらい取得する」という内容で話し合いを進めていくことになりますが、実際に遺産の土地や建物、車などを割合で分けることは非常に困難です。そのため、遺産分割協議で相続人全員の合意があれば、遺言や法定相続分に反して分割を変えても有効とされます。つまり、法は残された相続人全員の意思を何よりも尊重しているということです。

では、効力の強さはどのような順番になるのか?
前述のように、遺言や法定相続分に反する遺産分割協議の合意が尊重される以上、相続人全員の合意 が最も効力を持ちます。それに続いて、遺言(法定相続分に反する遺言も有効なため)、法定相続分と続 きますが、遺言には遺留分請求という制度がありますので、注意が必要です。

分割方法には、現物分割、換価分割、代償分割の3つがある。
主な分割方法は次の通りです。

①現物分割(げんぶつぶんかつ)
あの土地・建物は長男に、預貯金と有価証券は二男に、というように遺産そのものを現物で分ける方法です。現物分割では、各相続人の相続分きっちりに分けることは難しく、相続人間の取得格差が大きい場合は、一部の資産を売却するなどして、その格差を売却代金で調整したり、自己資金で調整(代償分割)したりします。

②換価分割(かんかぶんかつ)
遺産を売却後、お金に換えた上で、その金銭を分ける方法です。各相続人の法定相続分通りに遺産を分割したい場合にはこの方法が有効です。ただし、換価分割は遺産を処分するため、処分費用や譲渡所得税などを考慮する必要があります。

③代償分割(だいしょうぶんかつ)
実家の土地・建物を長男が取得する代わりに、二男に500万円支払うといったように、相続分以上の財産を取得する代償として他の相続人に自己の財産から相応の金銭を支払う方法です。

 

 

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Q 遺産分割協議のやり直しはできるの?また、前妻の子や認知した子を含めないで遺産分割協議をした場合はどうなるの?

A 無効です。(こういう事が起きないように、相続人の調査をしっかりする必要があります)

やり直しができる主な場合は、相続人全員がやり直しの合意をするか、遺産分割協議自体が無効や取消と判断されたときです。

相続人全員の合意
遺産分割協議が終わり、協議書を作成したあとでも、相続人全員の合意があれば遺産分割協議をやり直すことができます。ただし、協議成立後にそれぞれの相続人が相続手続きを完了していた場合、やり直し後の遺産分割は相続ではなく相続人同士の贈与となる場合があるため、贈与税に注意が必要です。

前妻の子や認知した子を含めないで遺産分割協議をした場合はどうなる?
遺産分割協議は相続人全員で行うことが必須です。時間と手間をかけて成立させた遺産分割協議でも相続人が一人でも抜けていた場合は無効となります。被相続人の出生~死亡までの戸籍を確認しなかったことで前妻との子や認知した子がいたと、のちに判明することもありますので、まずはしっかりと戸籍を集めて相続人を調査することが重要です。

その他の無効・取消と判断される場合
・遺産分割協議成立の背景に詐欺や脅迫があった場合
・遺産分割協議を錯誤(勘違い)の上で成立させてしまった場合
(一例として、協議の成立後に遺言書が見つかったケースが挙げられますが、遺言書が出てきたからといって協議の内容がすべて無効になるわけではありません。錯誤による無効が認められることはなかなか難しいですが、最初から遺言書が出てきていればこのような協議内容にはならなかった・合意しなかったというような場合には無効になる可能性があります。)

 

 

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Q 遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合や、相続人たちが疎遠だったり仲が悪くて話し合いができない場合は?

A 家庭裁判所を通じた解決方法を検討する必要があります。

相続人同士が仲が悪い、話し合いを進めたがひどく揉めてしまったなどの理由で、これ以上遺産分割協議が進められないというケースも少なくありません。そのような場合は、家庭裁判所の“遺産分割調停”を利用して手続きを進めていきます。遺産分割調停とは、家庭裁判所での調停手続きを利用する解決方法で、相続人だけの話し合いではなく、裁判所の調停委員を交えることで、相続人全員が納得のいく解決ができるよう調停成立を目指す手続きです。

それでも話し合いがまとまらない場合は?
遺産分割調停でも話し合いがまとまらなかった場合は、次に“遺産分割審判”という手続きへ自動的に移行していきます。最終的には、調停での話し合いを裁判官がまとめ、相続人それぞれの相続分について強制的に決定し、その内容に沿って分割が実施されますが、この審判結果にも不満がある場合は、不服を申し立てることも可能です。

 

 

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Q 生前に特定の相続人だけが贈与を受けていた場合は?

A 特別受益に該当する場合は、その分を考慮して遺産分割の話し合いをします。

相続人の中に、被相続人からの遺贈や多額の生前贈与を受けた人がいた場合、法定相続分通りに相続分を計算すると、特定の相続人が多くの利益を受けることになり不公平な相続になります。この不公平さを是正しようとするのが「特別受益」の制度です。

どんな時に特別受益が成立するの?
特別受益が成立する場合は、次の要件を満たす必要があります。

①受益者が法定相続人であること
②遺贈または生計のための資本、婚姻・養子縁組のための生前贈与であること

この要件を満たす場合に、その贈与を受けた特別受益者は、その価格を相続分から差し引かれ調整されることになります。

具体的にどのような場合?
特別受益が成立する場合として、“遺贈または生計のための資本か婚姻・養子縁組のための贈与”である必要があります。
【生計のための資本の例】
・居住用の住宅を買い与えてもらった
・大学などの高額な学費や海外への留学の費用を援助してもらった
・独立開業時に資金援助をしてもらった
・事業承継のために株式を譲り受けた
・借金を肩代わりしてもらった など

【婚姻・養子縁組のための贈与の例】
・婚姻の際の支度金や持参金、嫁入り道具の購入など

相続人の中にこのような特別受益者がいる場合、特別受益とみなされる可能性がありますが、生前贈与はすべてが特別受益に該当するわけではなく、被相続人の資産、収入など個別な事情に基づき判断されます。

 

 

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Q 生前に財産の増加(維持)に貢献した人が報われる制度があるってホント?

A 寄与分が認められる可能性があります。また「特別寄与料」という新しい制度もできました。

相続人の中に被相続人の家業(農業や商工業など)に従事し、財産の維持または増加に特別な寄与(通常の期待値以上の貢献)をしたなどの事情がある場合は、他の相続人との公平を保つために、遺産から貢献分を控除した上で相続分を計算し、特別な寄与をした相続人の相続分にその貢献分を加算する制度があります。これを“寄与分”といいます。

寄与分が認められる具体例は?
①家事従事型
例:被相続人の家業(農業や商工業など)に従事していたものの、報酬はほぼもらわずに財産の維持または増加に寄与した。
②金銭等出資型
例:不動産の贈与や無償提供、事業への資金援助など、家業や被相続人に対する財産的援助をし、事業の維持・発展に寄与した。
③医療看護型
例:病気療養中の被相続人の療養看護に相当な期間従事した、介護のために仕事を辞めたなど、その結果、施設入居費用等の支出を抑えられ、財産が維持された場合。
④その他
例:被相続人の財産管理を代理にしていたことで財産管理費用の支出を抑えられた、被相続人の生活費を代わりに賄って財産の維持に寄与した。

※上記のような例に該当する場合に、寄与分が認められる可能性があります。

寄与分を主張できるのは誰?
寄与分が主張できるのは相続人に限定されます。
従来、相続人の配偶者や相続人の子らが上記③のように被相続人の療養看護をしていた場合でも相続人ではない為、寄与分の請求はできませんでした。
しかし、相続人の配偶者や相続人の子という立場でも、被相続人にとって特別な貢献をしたことは事実であることから、2019年7月1日から被相続人の親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)であることを条件に“特別寄与料”を主張できるようになりました。
この制度が施行される今後は、今まで問題の多かった被相続人の子(息子)の配偶者(妻)が、被相続人に対し献身的な介護に努めていたというような場合でも特別寄与料の請求の対象に含まれることになります。

 

 

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Q よく聞く遺留分って何のこと?

A 一定範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。

遺留分とは、一定の範囲(被相続人の配偶者や子、親など)の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです。被相続人から見たら自分の財産の中でも自由にできないもの、相続人から見れば最低限に取得できる部分が「遺留分」ということです。
法定相続人の相続分は民法において定められていますが、これは遺言や生前贈与などによって変更することが可能で、相続人にとって本来もらえるべき相続財産が大幅に減ってしまったり、無くなってしまったりすることもあります。
遺言を作成する際に、遺留分を念頭に置いているかどうかはとても重要です。遺留分を侵害する遺言書も有効ですが、その相続人がのちに遺留分侵害請求を主張した場合、相続人間で争いに発展する可能性があります。

 

 

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Q 遺言書の検認手続きって?必ずやらなければいけないの?

A 公正証書遺言以外の遺言書の場合、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを受けないと遺言の執行はできません。

公正証書遺言以外の遺言書の場合、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを受けないと遺言の執行ができません。検認とは、相続人に対して遺言書の存在およびその内容を知らせるとともに、その時点での遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
間違えがちですが、遺言の有効・無効を判断するものではありません。
また、封印のある遺言書の場合、開封は相続人の立会のもと、家庭裁判所で行います。勝手に開封してしまうと罰則があり、5万円以下の過料が課せられることがありますので注意しましょう。

※2020年7月10日(金)から、法務局における遺言書の保管等に関する法律が施行され、法務局で保管された遺言書については検認が不要となります。
詳細はこちら

 

 

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Q 抵当権の抹消登記の手続きはいつ必要になるの?

A 代表的な場面は、住宅ローンを完済したときです。

抵当権の抹消手続きが住宅ローンを完済すれば自動的に抵当権も抹消されるということはなく、法務局で抵当権抹消の手続きをする必要があります。

 

 

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Q 抹消登記は必ずやらなければいけないの?

A 「いつまでに手続きをしなければならない」という決まりはありませんが、時間が経つと手続きが複雑になる場合がありますので、すぐに手続きしてしまうのがお勧めです。

住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が渡され、これらの書類を使って抵当権の抹消登記申請をすることになります。ただ、「いつまでに手続きをしなければならない」という決まりがないため、必要書類は受け取ったけれど、そのままにしているという方もいらっしゃると思います。紛失してしまうリスクもありますし、そのようなお客様もたくさんいらっしゃいます。抵当権抹消登記は時間が経てば手続きが複雑になってしまうことがありますので、すぐに手続きしてしまうのがお勧めです。

 

 

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Q 自分でも抹消登記はできるの?

A 可能ですがある程度の時間と手間はかかります。

可能ですがある程度の時間と手間はかかります。せっかく作った書類に不備があったため、何度も法務局へ出向くことになり、時間と手間ばかりかかってしまった…という話もよく耳にします。司法書士に依頼することで費用は発生しますが、自身で手続きを進めるのと比べ、時間や手間がかかるという心配はありません。

 

 

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Q 遺産があるかどうかがわからない。どうやって調べればいいの?

A 預貯金は銀行で残高照会、不動産は市役所で名寄帳の取得、借金の可能性がある場合は信用情報機関への問い合わせなどで確認していきます。

一般的に遺産の中で大きなウエイトを占めるのは、不動産と預貯金などです。

預貯金の確認方法
まず預貯金は、被相続人の通帳や郵便物等から調査をしていきます。金融機関の通帳やキャッシュカード、信託銀行や証券会社からの封筒から取引している金融機関を確認し、その銀行や証券会社へ残高照会をかけると残高がある場合には一覧で確認することが出来ます。

不動産の確認方法
不動産については、市役所から届いた固定資産税の通知書と課税明細書があると、被相続人所有の不動産を把握できます。固定資産税の課税明細書には、土地の地番や建物の家屋番号まで記載されているので、その地番などを頼りに法務局で登記簿謄本を取得するとよいでしょう。
また、不動産を調査する方法の一つとして「名寄帳」というものを役所で取得する方法もあります。この名寄帳には、その役所内にある課税不動産の全てが載りますので不動産の調査方法としてはとても便利です。ただし、自治体によっては非課税の不動産(公衆用道路等)が載らない場合がありますので注意が必要です。もし被相続人の所有不動産に私道部分がある場合には、法務局で公図を取得しその私道についての登記簿謄本も取得するようにしてください。未登記不動産が見つかった場合は、相続登記とは別に市役所への届出が必要なこともあります。

借金の確認方法
まずは郵送物を確認します。仮に被相続人に借金があった場合、死亡に伴い返済が滞ると債権者からお知らせや督促状が届くはずです。その内容から、借金の存在、金額や返済計画などを確認しましょう。次に通帳です。借金やローンがあった場合、毎月の引き落としや振り込みなどで返済をしていた可能性があります。そのような場合には通帳の記録をみれば、返済履歴を確認することが可能でしょう。
それでもわからない場合には、信用情報機関に問い合わせてみましょう。一般的に、銀行や金融機関からの借金は信用情報機関に記録が残されているはずです。なお、法定相続人から委任をうけた司法書士などが代理人として開示請求することも可能です。

詳細は、各信用情報機関のホームページなどから確認してください。
JICC(日本信用情報機構)
CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)
KSC(全国銀行個人信用情報センター)